出典確認・訂正:2026年9月22日。「2026年から変わる」としていた表現を修正しました。日本の改正年と施行日、消費税と関税、米国・EU向けの制度を分けて説明しています。
そんな方にぜひ知っておいてほしいニュースがあります。
2026年度の税制改正で、海外通販などの課税ルールの見直しが決まりました。ただし、改正された年と実際に適用が始まる年は異なります。日本の消費税の見直しは2028年4月1日からです。
そんな声も聞こえてきそうですね。
そこで今回は何が変わるのか・なぜ変わるのか・私たちにはどんな影響があるのかを、できるだけ分かりやすく解説していきます。
これまで海外通販を利用していた人にとって、大きなメリットだったのが少額輸入免税制度です。
現行制度では、課税価格の合計額が1万円以下の輸入貨物は原則として関税・消費税が免除されます。ただし、一部の革製品やニット製衣類など、少額でも免税にならない品目があります。「購入価格1万円以下なら必ず無税」という意味ではありません。出典:税関「少額輸入貨物の簡易税率」。
そのため、
「海外のほうが国内よりずっと安い!」という商品も少なくありませんでしたよね。
国税庁は、2026年度税制改正による通信販売の資産の譲渡に係る消費税の見直しを、2028年4月1日以後に適用すると案内しています。出典:国税庁「国境を越えた電子商取引に係る消費税の課税関係について」。
見直しでは、国外から日本へ通信販売で発送される1点の対価が税抜1万円以下の資産(特定少額資産)の販売を、消費税の課税対象とする仕組みが設けられています。従来の「輸入貨物の課税価格の合計1万円以下」とは判定の単位が異なります。制度設計の出典:財務省「令和8年度税制改正の大綱・消費課税」。
ここで説明しているのは消費税の見直しです。関税の少額免税が同じ日から一律に廃止されるという説明ではありません。また、制度変更だけからSHEINの全商品が一律に値上がりするとは断定できません。
もう一つ注目されているのが、「0.6掛け特例」の廃止です。
現行の特例では、個人使用など一定の条件を満たす輸入貨物について、海外小売価格に0.6を掛けて課税価格を求めます。再販売目的の商品仕入れにそのまま使える特例ではありません。出典:税関「課税価格の決定の特例」。
例えば1万円の商品を購入した場合でも、
特例の条件を満たす場合、課税価格は6,000円となります。
6,000円は税額ではありません。税額は品目・税率・免税の適否などによって決まります。
財務省の2026年6月23日の説明では、この0.6掛けの特例廃止も2028年4月の施行予定とされています。2026年から既に廃止されたわけではありません。出典:財務省・関税分科会議事録(2026年6月23日)。
特例廃止後の税額は、輸入時点の評価方法や品目ごとの税率等で異なります。「購入価格に一定率を掛ければ必ず計算できる」とは限らないため、税関の最新案内を確認してください。
海外通販のお得感は、以前より薄くなるかもしれませんね。
「今まで問題なかったのに、どうして急に?」
そう思う方も多いでしょう。
実は背景には、SHEINやTemuなど中国発の越境ECの急成長があります。
以前は海外から個人輸入する人は限られていました。
ところが現在では、
・SHEIN
・Temu
・AliExpress
などを利用する人が急増。
毎日、大量の商品が日本へ届けられるようになりました。
しかも、その多くが免税ライン内に収まる価格帯です。
その結果、国内ショップは消費税を納めているのに、海外通販は実質的に税負担が軽いという状態になり、「公平ではない」という声が以前から上がっていました。
少額免税と0.6掛け特例は目的や成立時期が異なる制度です。少額免税には徴税事務の負担軽減という側面があり、0.6掛け特例は個人使用貨物と商業貨物の課税の公平性を確保する仕組みとして設けられました。出典:大阪税関・事務局説明資料(2026年1月26日、PDF16~17ページ)。
つまり制度そのものが、今のネット通販時代に合わなくなってきたというわけです。
財務省は、少額輸入の免税制度による国内外の事業者間の競争上の不均衡などを、見直しの背景として説明しています。出典:財務省「令和8年度 税制改正(国税)等について」。
「日本だけ厳しくなるの?」
というと、そうではありません。
実は世界中で同じような動きが進んでいます。
アメリカでは800ドル以下の輸入品を免税にする「デミニミス制度」がありました。
米国税関・国境警備局(CBP)は、2025年8月29日から、原則として全ての国からの800米ドル以下の貨物について少額免税の適用を停止したと案内しています。例外もあるため、実際の輸入条件はCBPの案内で確認してください。出典:CBP「Mail – Duty waiver policy」。
これは米国へ輸入する場合の制度です。日本に届ける注文に米国の制度がそのまま適用されるわけではありません。
EUでは、2026年7月1日から150ユーロ未満の小包に含まれる商品に対する暫定的な関税が導入されています。
EU理事会の説明では、暫定関税は小包に含まれる関税分類上の商品カテゴリごとに3ユーロです。「小包1個につき必ず3ユーロ」とは限りません。これはEU向け輸入の制度で、日本向け注文の税額ではありません。出典:EU理事会「EU action on the influx of small parcels」。
つまり、少額輸入を優遇する時代が世界的に終わりつつあるということなんですね。
一番気になるのはここですよね。
今後は海外通販を利用するとき、
「表示価格だけ見て買う」のは少し危険になるかもしれません。
例えば、
まで含めて考えることが大切になります。
今までは海外通販が圧倒的に安かった商品でも、
最終的な支払額を比べると、国内ショップのほうがお得になるケースも増えてきそうです。
「安いと思って買ったら、思ったより高くついた……」
そんな失敗を防ぐためにも、購入前に総額をチェックするクセをつけたいですね。
事業者への影響は、輸入形態や消費税の取扱いによって異なります。以下は事業運営についての一般的な考え方で、制度改正による利益や費用の変化を保証するものではありません。
なお、個人使用貨物の0.6掛け特例と、再販売目的の商業輸入を混同しないことが大切です。
一方で、国内事業者にとっては追い風になる面もあります。
これまで海外ECが持っていた税制上の優位性が小さくなることで、価格競争が少し公平になる可能性があるからです。
今後は、
など、価格以外の価値で勝負する時代になっていくかもしれません。
日本では2026年度に制度が改正され、消費税の見直しは2028年4月1日から適用されます。0.6掛け特例の廃止も、財務省は2028年4月施行予定と説明しています。
さらにアメリカやEUでも同じような制度の見直しが進んでおり、「海外通販だから圧倒的に安い」という時代は少しずつ変化していきそうです。
もちろん、SHEINやTemuがすぐに利用しにくくなるわけではありません。
ですが、これからは商品価格だけではなく、税金や送料まで含めた「トータルコスト」で判断することがますます重要になります。
消費者にとっては、賢く買い物をするための知識がこれまで以上に必要な時代になりそうですね。
そしてEC事業者にとっては、海外勢との競争条件が見直されることで、新たなチャンスが生まれる可能性もあります。
制度が変わると最初は戸惑うもの。
ですが、早めに情報を知っておけば慌てる必要はありません。
これから海外通販を利用する方も、ECビジネスに携わる方も、ぜひ今後の動向に注目してみてくださいね。